最新ニュース

ヴァン・クレーグ・ゲッセル教授と,潟沼誠二 名誉教授が,平成30年の叙勲で受章

日本文学研究と教育学の分野で日本に貢献

 

ヴァン・クレーグ・ゲッセル教授

2018年4月29日,ブリガム・ヤング大学(BYU)プロボ本校,アジア-中近東系言語学部のヴァン・クレーグ・ゲッセル教授(67)が,平成30年春の叙勲において,アメリカ合衆国における日本文学研究の発展及び日本・アメリカ合衆国間の相互理解の促進に寄与したとして,旭日中綬章(勲三等)を受章した。9月27日に伝達式が行われ,来日したゲッセル教授に勲章が手渡された。式にはブリガム・ヤング大学のケビン・J・ワーゼン学長夫妻も同席した。

ゲッセル教授はカリフォルニア州コンプトンに生まれ,ユタ州ソルトレーク・シティーで育った。18歳で末日聖徒イエス・キリスト教会に改宗する。1970年に専任宣教師として来日,2年間にわたって神戸伝道部で奉仕する。この伝道中に,日本人に対する愛と関心を育んだ。

熱心なクリスチャンとして,教会ではBYUの独身ワードのビショップ、BYUの独身ステ長、オレゴン州ポートランド道部長などの責任を果たしてきた。3人の子供の父親でもある。

1979年、コロンビア大学より日本文学で博士号を授与され、コロンビア大学、ノートルダム大学、カリフォルニア大学バークレー校、ブリガム・ヤング大学で教職に就く。後にブリガム・ヤング大学アジア-中近東言語科長,人文学部長を歴任する。若くして日本の文化に触れ、米国における日本文学研究の発展に多大な貢献をし、相互文化理解の架け橋となった。

日本のクリスチャン作家として知られる遠藤周作の一次翻訳者として有名になったゲッセル教授。遠藤周作の『侍』『深い河』などを含む8作品を翻訳出版している。小説『沈黙』の翻訳はしていないものの、『沈黙』を原作としたマーティンスコセッシ監督の映画『沈黙-Silence-』(2017年日本公開)にも相談役として関わっている。

その他にも、J・トーマス・ライマーと共同編集した昭和短編小説集『The Columbia Anthology of Modern Japanese Literature』を上梓している(第1巻:2005年、第2巻:2007年)。リード・ニールソンと共同編集したエッセー集『Taking the Gospel to the Japanese: 1901 to 2001』は最優秀国際モルモン歴史書として,モルモン歴史協会によりジェラルディン・マクブライド・ウッドワード賞を贈られた。

2016年には、日本の伊藤誠総領事より,日本と他国の相互理解と親善を深めたとして表彰されている。

ゲッセル教授は日本の文化、慣習、信念と価値観を愛し,長年多くの人々に教えてきた。日本国外における,近代日本文学研究の分野で数少ない一流の専門家である。日本と日本文化への理解を深めた功績により,この度,旭日中綬章を受章したのである。

                   

潟沼誠二 名誉教授

2018年11月3日には,北海道教育大学の潟沼 誠二(かたぬま・せいじ)名誉教授(81)が,平成30年秋の叙勲において,6つの瑞宝章の3番目に位置する(勲三等)瑞宝中綬章を受けた。11月7日に伝達式が行われた。

潟沼教授は北海道美唄市出身である。21歳頃の大学生時代に宣教師と出会い,末日聖徒イエス・キリスト教会へ改宗した。

北海道大学大学院文学部国文科博士課程を単位取得退学し、1972年に米国ブリガム・ヤング大学へ講師として招聘される。1976年にフルブライト招聘講師として渡米し、1989年には再度ブリガム・ヤング大学へ招聘される。

北海道教育大学岩見沢校教授として長きにわたり奉職した。北海道教育大で鞭を執っていた時は、ユーモアのある教授として「年間冗句集」が年発行され、学生に人気を博していたという。教育分野における長年の卓越した貢献が評価され,今回,瑞宝中綬章の受章となった。

2012年8月には,末日聖徒イエス・キリスト教会の会員だけでなく、宗教文化に興味を持つすべての読者を対象とする『そこが知りたい 日本のキリストの今』を出版した。

教会においてはステ会長を10年以上務め、地区代表や地域七十人も任している。北海道教育大学を退官してから,妻の陽子さんとともに山梨県甲府市で夫婦宣教師として奉仕した経験が,以下の記事「非まじめのすすめ─永遠の友を得た夫婦宣教師」に綴られている。

https://www.ldschurch.jp/married-couple-resume-vol-10

潟沼教授は,「非まじめ」とは自分を開く術であると説明する。人間は皆,不完全なので,思いやりを持ちつつ忍耐しつつ、互いを責めず,自分を開き,人と一緒に時間を過ごして楽しむべきだと,隣人(となりびと)へ愛を示すことへの強い信念を語っている。

書式ガイドの注釈:末日聖徒イエス・キリスト教会に関する記事で,教会の名称を最初に引用する際には,正式名称を使うようお願いいたします。教会の名称の引用に関する詳しい情報は,こちらへ: 書式ガイド書式ガイド.