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教会宗紀

教会宗紀とは何か?

末日聖徒イエス・キリスト教会の会員は,男女が地上に置かれた目的はキリストに従うことによって学び,成長し,より善い人となるためであると信じている。教会では,この過程を「永遠の進歩」と表現する。この過程の中心となっているのは選択の自由であり,それを通じて人格が形成されるのである。わたしたちは様々な選択をしていく中で,必然的に過ちを犯すものである。人生の過ちのほとんどは,簡潔で誠実な悔い改めを通して克服できるのである。悔い改めの過程は,宗教を持つほとんどすべての人々に広く知られている。

まれではあるが,進歩を危うくする重大な罪を犯す場合がある。教会宗紀は,人が自分の状況を再評価し,教会に戻って完全な会員資格を回復し,活動に参加するように促す,悔い改めにかかわる制限と条件であり,そのような深刻な事態において罪の克服を助けるための過程である。

あらゆる罪は,大小にかかわらず,イエス・キリストが払われた犠牲と苦しみ,憐れみと恵み,つまり贖罪により,悔い改めが可能となったのである。教会宗紀は,人がイエス・キリストの贖罪の力をより完全に受け,罪から洗い清められ,永遠の進歩を続けるのを助けるためにある。

「宗紀」(訳注―“discipline”には「鍛錬」という意味もある)という言葉は,特にこのような宗教的な意味において重要な言葉である。これは,「真に従う者」を指す「弟子」(disciple)と同じラテン語根を持っている。自制を学ぶことにより,わたしたちはより善い人間となるのである。どのようなスポーツ選手,芸術家,学者,音楽家も,自制が向上の鍵であると認めるであろう。人の霊的な進歩についても同じである。キリスト御自身も,わたしたちが思いと言葉と行いを鍛錬しなければならないと繰り返し教えられた。イエス・キリストの弟子となるには自己鍛錬が必要である。

教会で行われるどのようなカウセリングや宗紀も,その個人がキリストの贖罪が与える平安と希望を得られるよう助けるために行われるのである。処罰することと混同すべきではない。

教会宗紀は,その状況と個人を最もよく知っており,悔い改めの過程の最初から最後まで,本人の傍らで支援できる人々により,地元レベルで実施されるのである。

教会宗紀の目的は何か?

教会宗紀の目的は,処罰することではなく,重大な罪を犯した人が完全に悔い改め,完全な会員資格を回復できるように促すことである。

地元の教会指導者のための手引きには教会宗紀の3つの目的が概説されている。

個人が悔い改めて戻れるように助ける

イエス・キリストの教えと一致した生活をすると,悔い改めは平安をもたらす。教会宗紀は,その人が完全な赦しと平安を受けるために必要な心と行動の変化を感じられるよう助けるための過程である。教会宗紀の条件を満たした人は完全な赦しを受け,教会活動に全面的に参加できる。

罪のない人を保護する

ある人が別の人に身体的な脅威,あるいは霊的な脅威を与えた場合,被害を受ける可能性のある人々を助けるために教会宗紀が実施される。脅威の中には,略奪行為,身体的な危害,虐待,詐欺,背教も含まれる(下記参照)。

教会全体の高潔さを保つため

教会はその会員に,イエス・キリストの模範に倣って,道徳的な,信仰を中心とした生活をするように教えている。これらの標準を守らず,その言動によって教会全体の高潔さを大きく損なう人は,教会宗紀の対象となることがある。

なぜ教会宗紀を受ける人がいるのか?

教会宗紀は悔い改めの過程の一部であるため,個人が重大な罪を告白し,悔い改めにおいて助けを受けるために地元の指導者のもとに来たときに開始されることが最も多い。指導者は,誘惑に抵抗し打ち勝つ方法と,完全な悔い改めに必要な手順について本人と話し合う。罪の重大さによっては,このようなカウンセリングは教会員が自分の目指す道に戻れるように導くのに必要である。

教会宗紀評議会は法的な手続きではない,また,民事あるいは刑事事件の裁判を行うために開かれるものでもない。また,教会に定期的に出席しなかったことや教会の健康の標準を守らなかったこと,教会の責任を果たせなかったこと,会員間の争いに対処するためにあるのでもない。宗紀評議会は教会記録から除籍を申請する会員や他の教会に加わった会員のために開かれるものではない。これらの問題は簡潔な,運営上の手順を通して取り扱われる。

教会の宗紀は重大な法律違反を犯した人のために必要な場合もある。また,背教,すなわち教会や指導者や教義に対して明確に公然と繰り返し反抗的な姿勢を取ることに対処するためにも実施される。教会の信条に反する教えを説いたり,他の教会員を自分の考えに同調するように説得したり,あるいは教会に対し自分たちの個人的な見解に合わせて教義を変更するよう公然と主張したりする人がいれば,その人は地元の教会指導者の勧告を受け,そうした行為をやめるよう求められる。やめない場合は,教会宗紀が実施されることもある。一夫多妻など,教会の教義に反する行為をする背教的なグループの教えに従う人についても同様である。

さらに,その他の重大な罪も教会宗紀が必要になることがある。教会は児童虐待,伴侶への虐待,性的虐待などいかなる虐待および児童ポルノグラフィーをいっさい容認しない。これらに加担している人は犯罪の告発を受けるとともに教会宗紀を受けることになる。詐欺,強盗,住居侵入,犯罪行為,違法な薬物の売買を含む犯罪行為,あるいは家族への責任の放棄も教会宗紀の対象となる。堕胎や性的な罪を含む,個人的な重大な罪については,悔い改めの過程の一部として宗紀上の処置が必要になる場合もある。

教会の宗紀評議会では何が行われるのか?

教会宗紀が検討される前に,地元の指導者は問題のある行為の性質について話し合い,直面しているチャレンジの克服を助けるために当事者と(多くの場合,何度も)会う。教会宗紀が必要な手順の一つであると地元指導者が感じた場合,それについて本人と話し,宗紀評議会が開かれることを通知する。

宗紀評議会の大部分はワード,すなわち地元の集会レベルで開かれる。これらの評議会では,ビショップと二人の顧問が本人を非公開の評議会に招き,祈りによって始める。その人は,ビショップとともに話し合い,自身の行動と悔い改めるために取った手順があればそれについて説明を行う。質疑応答の機会が与えられ,本人は自分のために他の人々に証言を依頼することができる。

話し合いの後,ビショップと二人の顧問は三人で,祈り,慎重に審議し,教会の方針と教義を考慮し,起こり得る結果についてともに話し合う。その会員が結婚の聖約に違反したか,責任を果たす立場や信頼が悪用されていないか,罪が繰り返されてきたかや罪の重大さ,年齢,本人の成熟度と理解度,悔い改めへの理解度と姿勢など,被害者や家族の利益など,様々な面について検討を行う。話し合いの結論として,ビショップは対処方法を提案するが,これについて二人の顧問から同意を得なければならない。

この時点で,本人が再び部屋に招き入れられ,決定について知らされ,悔い改めに伴うスケジュールや制限,条件についての指示を受ける。

宗紀評議会に出席したことのある人は,それが人生の中で最も深遠で霊的な経験の一つとなったと述べている。これらの手続きには,深い愛と悲しみ,イエス・キリストの贖罪への希望と感謝が満ちている。神との和解を求める個人は,悔い改めの条件を満たし,会員としての完全な資格を回復するために,あらゆる面で支援と励ましを受ける。

同様の過程がステークレベルで,ステーク会長と顧問,ステーク高等評議会の評議員によって実施されることもある。ステーク宗紀評議会はより高い神権を持つ男性や教会において重要な指導者の職を果たしており,一連の手続きによって教会の会員権が破棄される可能性のある男性に対して開かれる。

宗紀評議会が行う可能性のある裁定にはどのようなものがあるか?

宗紀評議会の結果は本人の今後の見通しと理解度によって大きく影響を受ける。聖文に示されているように,悔いる気持ちと,打ち砕かれた心を持つ人は,宗紀が必要であることを認め,自分の過ちを克服する助けとなるどのような処置も受け入れる可能性が高い。反抗的で悔い改める気持ちのない,争いを好む人の場合は,戻る道がそれだけ長くなることになる。教会は,心から悔い改める人をいつでも喜んで受け入れるのである。

本人とカウンセリングを行う中で,教会指導者は公式な宗紀が必要ないと判断する場合がある。必要な処置は,教会の活動への参加(聖餐を取ることや,教会の責任を持つこと,あるいは神殿での礼拝)の一時的な制限のみであると判断されることもある。これは,教会における略式の保護観察と呼ばれることがある。

宗紀評議会が開かれた場合,以下の4種類の処置が下される。

処置なし

評議会は,他に処置をする必要がなく,地元の教会指導者と一緒に問題に取り組んで克服し続ける方がよいと判断することがある。

公式の保護観察

公式の保護観察は,一時的に,会員が聖餐を取ったり,教会の責任を受けたり,集会に参加したり,神殿の礼拝に携わったりしないように求められる。この保護観察の期間中,その人は頻繁に指導者と会い,悔い改めに向かって前進し続けるための助けを受ける。

正会員資格剥奪

公式の保護観察と同じように,たいていの場合,正会員資格剥奪も一時的なものである。ただし,実施される期間がもう少し長くなり,一般的には少なくとも一年である。正会員資格を剥奪された人は,公の場において,祈ること,教えること,聖餐を取ること,神殿に参入すること,および説教をすることは認められないが,まだ教会の会員であり集会には出席するよう奨励されている。男性の場合は神権の務めを果たすことができない。

会員権の喪失(破門)

宗紀評議会が下し得るもっとも重い裁定は,教会の会員権の喪失である。これは最終手段であり,より軽度の宗紀処置が不十分な場合にのみ実行される。教会の会員権を喪失した人は,正会員資格を剥奪された人と同じように参加方法は制限されるが,公の教会集会に出席し続けることができる。これに加えて,教会に什分の一を納めることが認められない。もはや教会員ではないが,地元の指導者は引き続き勧告と導きを与えることができる。

もしその人が心から完全に悔い改めたことを示し,教会に戻ることを望めば,歓迎される。そのような場合はバプテスマをもう一度受ける必要がある。

下された裁定に不服がある場合はどうなるのか?.

宗紀評議会の手順や裁定に不服がある場合は,ワードレベルで下された裁定はステークに不服申し立てを行い,ステークレベルの裁定は教会の大管長会に不服申し立てを行う。そのような不服申し立てはまれである。

教会宗紀の後はどうなるのか?

教会宗紀は,過程における最終地点ではなく,完全な会員資格を回復する道の出発点である。罪の重さと宗紀評議会の最終決定に応じて,宗紀は数週間から数か月,あるいは数年間にわたる場合がある。その期間の長さは,本人の進歩の度合により決まる。

教会宗紀を受けた人がいれば,地元の教会指導者は頻繁にその人と会い,信頼を示しながら悔い改めの手順において励ましと勧告を与える。この期間,指導者は彼らが罪を繰り返さないように,そして贖いを通して個人の赦しを求め,過ちを償い,宗紀評議会のときに説明された手順を完了することに集中するのを助ける。

教会宗紀は,評議会が再び開かれ,教会宗紀の処置を受けた人が完全な会員資格の回復にふさわしいと判断されたときに終了する。

本人の教会記録に宗紀についての記載が残るのか?

ほとんどの宗紀処置については,その人の完全な会員資格が回復されると宗紀に関する記載はいっさい残らない。会員権の喪失後に回復された場合は,新しい会員記録にバプテスマやその他の儀式を受けた日付が記載され,会員権を喪失した形跡は残らない。

伴侶への虐待,近親相姦,子供の性的虐待や身体的虐待,多妻結婚,略奪行為や教会予算の横領を含めた一部の場合においては,他の人に危害を加えることのないように個人の記録に注意書きが永久に残る。

宗紀についてどのような情報が共有されるのか?

すべての教会宗紀は完全に内密に実施される。教会指導者は,告白や面接において聞く情報をすべて内密に保つという厳粛な責任を負っている。内密さを保つため,教会は宗紀評議会のやり取りについて話をすることはない。内密な議事録は書記が記録するが,たとえ当事者が一連の過程について情報を公開し,その過程を自分の都合のよいように仕向けようとしても,教会は公式な発表をすることには慎重な姿勢を保つ。まれに,誤った情報によって他の人々が危害を被らないよう,宗紀評議会の裁定を公にすることがある。

まとめ

神は御自身のすべての子供たちを愛しておられ,御子イエス・キリストの贖いがもたらす平安と回復を子供たちに実感してほしいと望んでおられる。個人的な悔い改めや自制から教会の公式な宗紀まで,どのレベルにおける宗紀も,わたしたちがより善い人となり,弱点と罪を克服し,イエス・キリストの真の弟子になろうと努めるときに高められるためにある。

A Chance to Start Over: Church Disciplinary Councils and the Restoration of Blessings”も参照

書式ガイドの注釈:末日聖徒イエス・キリスト教会に関する記事で,教会の名称を最初に引用する際には,正式名称を使うようお願いいたします。教会の名称の引用に関する詳しい情報は,こちらへ: 書式ガイド書式ガイド.

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